平成29年3月期の決算留意事項

2017年4月12日

平成29年3月期の決算が始まりました。今回の主な決算留意事項は以下のとおりです。

No. 平成29年3月期 決算留意事項 概要
1 平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱いの公表 2016年7月29日
会計士コラム参照
2 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針の適用開始 2016年9月7日
会計士コラム参照
3 リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱いの公表 2016年10月12日
会計士コラム参照
4 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準の公表 2016年12月7日
会計士コラム参照
5 債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱いの公表 下記参照

No.1からNo.4の決算留意事項の概要は、既に過去の会計士コラムに掲載しています。会計士コラムには公開草案の段階で掲載しているものもありますが、公開草案から大きな変更はありません。

No.5は、平成29年3月29日に公表された実務対応報告ではありますが、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用するとされており、今回の決算から留意が必要となります。

「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」では、次のように会計処理が定められています。

退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法による。

これは、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りがマイナスとなる場合の割引率に関する取扱いの検討にあたって、利回りの下限としてゼロを利用する見解とマイナスの利回りをそのまま利用する見解の双方が存在し、欧州における議論でも統一的な見解が定まっておらず国際的な動向も踏まえることが難しい一方で、早急に取扱いを示してほしいという実務上の要請もあったため、現時点の国債等のマイナス利回りの幅が大きくないことを踏まえ、当面の取扱いとして明らかにしたものです。

なお、平成30年3月31日以後に終了する事業年度の取扱いに関しては、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを定めたガイダンスの公表に向けて、引き続き検討を行うとされています。





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仰星監査法人

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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