事例インタビュー

東武トップツアーズ
企業合併で実現した人材活用基盤とは
~人財力の向上と働き方改革に向けた人事・労務・目標管理の変革~


東武トップツアーズ_会社紹介

東武トップツアーズ株式会社は、2015年に東武トラベルとトップツアーが合併して誕生した総合旅行会社である。同社は、東武沿線を基盤に個人旅行を強みとしていた東武トラベルと、企業向けの団体旅行・訪日旅行を強みとしていたトップツアーによって、業界内の地位確立と更なる経営基盤の強化を目的に、2015年に企業合併を実現した。合併後は、法人営業を基盤としたMICE事業の一層の強化、アジアマーケットなどを見すえたインバウンド営業の拡充、そして、間接業務の生産性向上などの相乗効果の発揮を目指している。そして、同社が特に力を入れているのが「人財力の向上」だ。人財力によるソリューションと高付加価値創出を全ての事業活動の基本戦略に位置付けている。
東武トップツアーズ 執行役員 人事総務部長の城戸尚志氏は次のように語ってくれた。
「当社の特長は『リアルエージェント』であることです。旅行代理店というと、最近はネットのツアーサイトなどを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、営業員による企画提案や旅行カウンターでのご相談など、リアルだからこそできることがあり、我々はその「人」にこだわって事業を行っています」(城戸氏)




人財力の向上に向けて、人財データベースの構築、人材活用基盤の確立を目指す

その「人財力の向上」を支えているのが、同社の人事総務部門である。例えば教育施策では、研修内容を見直し、時代に合わせた内容にシフトした。その具体的な内容を、人事総務部 能力開発室長の山科ほとり氏が説明してくれた。
「新入社員であれば新入社員研修のほか、1年目と2年目の研修がありますし、3年目の終わりには主任研修が有ります。管理職であれば、新任管理職研修に現任管理職研修もあるといった具合に様々な教育施策があります。経営統合してからは、それら研修の内容を、時代に合わせてかなり変えています。昔ながらの知識習得型から、マインドセットやモチベーションの向上にシフトしています。また、資格取得も奨励しています。例えば、入社2年目までに地理検定の何級を取ろうとか、TOEICで何点を取ろうといった具合です」(山科氏)

さらに、教育施策と併せて「人財データベース」の構築にも取り組んでいるという。効果的な教育施策を実施するためには、人財データベースによる情報共有の仕組みが不可欠だからだ。
「研修受講状況、スキルや業績、経歴などの情報を人財データベースに落とし込み、共有できるようにすることを検討しています。企業統合により、どこにどのような人材が何年間いるのか、わかるようにしておかないと、人材の抱え込みが現場で行われていても、それに気づくことができません。一方、企業統合で規模が拡大したことで、社員の活躍の場は広がっているわけですから、人財データベースを活用し、本人のモチベーション向上につなげる機会を作ることもできます。例えば、経験豊富なシニア層社員から、若年層社員へのノウハウの伝承に繋げるといった、シニア層が能力を発揮できる機会をつくりたいと考えています。」(山科氏)

教育施策、人財データベースの構築の実現に向け、人事総務部門が先ず具体的に目指したのは、人事・労務管理業務の生産性向上、厳格な労務管理、評価制度の透明性確保だ。そのために、新人事制度の構築と並行して、人事・給与・労務・評価のシステム統合化に取り組み、その第一歩として「人事・給与業務の大幅な工数削減」を実現した。

次に、システムをどのように構築し、今後はどのような展開を考えているのかを紹介していく。



▶人材活用基盤基盤構築スキーム
人材活用基盤基盤構築スキーム



人事・給与業務を全面的に見直し、
生産性向上と人財の可視化へ

ZeeM 人事給与

同社の人事総務部門にとって、会社合併による最大の課題は1.5倍に増える従業員に対する人事・給与業務の統合と業務生産性の向上を同時に実現しなくてはならないことだった。当然、合併前はそれぞれの人事・総務部門で、システムも制度も別々な上に、各種人事申請業務など、紙ベース・Excelベースの業務が多数存在していた。それらの業務生産性を向上し、新たに生まれた余力を「人材育成」や「働き方改革」の取り組みに向けなくてはならないためだ。
「両社の良いところを継承しつつ、新制度を見据えてバラバラな運用を統合しなくてはなりませんでした。更に、合併後は人財力の強化に注力できるような運用体制を構築する必要もあります。そのためには、まずは自分たちの業務の進め方を全面的に見直す必要がありました。例えば、給与明細書の発行だけでも、毎月、全国の拠点に発送するための手作業が発生します。ほかにも、二度手間・三度手間の部分がたくさんありましたから、システム化の範囲を広げ、徹底的に効率化を図らなくてはなりませんでした」(城戸氏)



東武トップツアーズ_城戸様
東武トップツアーズ株式会社
執行役員 人事総務部長 城戸尚志 氏


応用力とサポート力でシステムを選定

業務生産性を向上させるための課題となったのは、「人事管理・給与計算システムの構築」と「新制度の構築」が、同時進行であったことだ。その為、新システムには多様な業務・情報に耐えうる汎用性、新制度構築に順応する柔軟性を兼ね備えている必要があった。そこで、同社が採用したのがクレオの「ZeeM 人事給与」だった。
「合併当初は、最低限度の制度対応を進めながら、借り上げ社宅や退職金といった制度の細目についても網羅的に統合していくということが必要でした。人事情報も、今後は人財データベースとして発展させていく必要がありますから、汎用性・応用性が高く、その後の様々な用途にも十分に耐えられるシステムを探していました。それがZeeMだったのです」(城戸氏)

また、サポート体制の充実とベンダーの信頼性もシステム選定の重要なポイントだったと城戸氏は語る。
「今回の導入では、合併に伴う人事制度の統合が、システム導入と同時進行になってしまいました。システム導入期間は企業統合前ですから、新制度に対する判断・意思決定に時間がかかりますし、労働組合との調整もあります。しかし、スケジュールを遅らせる訳にはいきません。実際に、導入作業がスムーズに進まないこともありましたが、クレオのSEさんに親身になってご協力いただいたことで、最終的には何とか間に合わせることができました」(城戸氏)




人事総務部門のスタッフを縮小しながら、1.5倍の従業員に対応

合併に伴い、従業員数は1.5倍に増えた。更に秘書業務や会議体の事務局も加わったことで人事総務部門の全体の業務量は増えたが、スタッフの数は15名になるところ11名でこなしている。スタッフの圧縮ができたのは、ZeeMを活用し、人事・給与業務の大幅な工数削減を図り、生産性をあげたためだ。

具体的な工数削減例の一つにWebの活用が上げられる。例えば、給与明細書を紙からPDFに切り替え、Webで照会できるようにしたことで、発送業務や従業員からの問い合わせ対応を減らした。「ひとつひとつは大した手間ではありませんが、それらの細かな改善の積み重ねが効果を発揮しています」(城戸氏)

また、今回のZeeM導入では、給与振り込みの第2口座指定など、従業員向けサービスの向上も図り、業務効率化とサービス向上を同時に実現しているが、中でも一番の成果は「人財データベースの土台ができたこと」だと城戸氏は強調する。
「今回のシステム化で大幅な業務効率化を図ることができた。ただ、なによりも一番大きいのは、人財の可視化、スキルの見える化に向けた第1歩を踏み出せたことです。」(城戸氏)



▶業務生産性向上と人財データベース化に向けて
業務生産性向上と人財データベース化に向けて

ZeeM 人事給与の詳細はこちら(クレオ)



「働き方改革・長時間労働の是正」への取り組み

Timepro-VG

同社の人事総務部門では、今回の企業合併に併せて、新たな就業管理システムにアマノの「TimePro-VG」を採用した。紙ベース・Excelベースによるこれまでの煩雑な勤怠管理を改善するとともに、勤務実態を定量的に把握できるようにすることで、長時間労働の是正に向けた「働き方改革」に対応するのが狙いだ。
システム選定では、アマノの就業管理に対する豊富なノウハウと実績が決め手になった。もともと、過去にアマノから入退出管理システムの提案を受けたことがあり、その時から、豊富なノウハウと実績を持ち、多様な就業スタイルにも柔軟に対応できるシステムだと感じていたという。更に、トップブランドとしてのシステムの安定性も評価していた。



東武トップツアーズ_山科様
東武トップツアーズ株式会社
人事総務部 能力開発室長 山科ほとり 氏


紙ベース、Excelペースの運用をWeb化

「当社には多様な就業スタイルがあり、これまでは紙ベース・Excelベースで運用せざるを得ませんでした」と語るのは同社の執行役員 人事総務部長の城戸尚志氏だ。
実際に、旅行の添乗やカウンターのシフト勤務、短時間勤務など様々な勤務体系があるため、勤務予定表や時間外管理簿などは紙やExcelで対応していた。そして、各事業所から毎月送られてくる紙やExcelを人事総務部門で集約をしなければならなかった。
「毎月1000枚以上の勤務表をチェックする必要がありますし、残業申請にも対応しなければなりません。手間もかかりますし、ミスも起こりえます」(城戸氏)

そこで、同社ではTimePro-VGを導入し、勤怠入力や残業申請を紙の運用からWebに移行した。これにより、勤務表の収集・確認・集計が自動化され、工数を大幅に削減することができた。



実態把握と管理職の意識変革で実現する長時間労働の是正

勤怠管理業務の工数削減と併せて取り組んだのが「慢性的な長時間労働の体質改善」だ。そこには、旅行業界ならではの悩みがあった。
「当社は創業当初、企業の団体旅行や修学旅行を事業の中心に手掛けてきましたが、現在では、お客様をご招待しての大規模セミナーや成績優秀なセールスマンにインセンティブを与えるツアー、社員の集合研修など、MICE(ミーティング、インセンティブ、コンベンション、イベント)と呼ばれる事業を主力としています。法人のお客様に当社の営業が様々な企画をご提案していく中で、例えば『会社にお願いするのではなく、君”に任せたい!』と言っていただくこともあります。そうすると、担当営業はとにかく頑張ります。結果的に、お客様のために長時間労働に陥ってしまう、そういう職人的な雰囲気がこの業界にはあります」(城戸氏)

同社は現在、社長を委員長とした「働き方改革推進委員会」を発足し、長時間労働の是正対策など「働き方改革」に精力的に取り組んでいる。TimePro-VGで勤務実態を正しく捉え、厳格な時間管理ができるようになったことで、「働き方改革」の取り組みへの相乗効果が高まっているという。

「長時間労働の是正を進めていくためには、先ず基本的なデータを把握しなければなりません。誰が、どれだけ働いているのか、どれだけ残業しているのかを正しく把握できなければ、全社的な施策は困難ですし、個人への指導もなかなかできません」(城戸氏)

具体的には、TimePro-VGで、定量的な勤務実態の把握をできるようにするとともに、残業申請の時刻と打刻時刻の乖離も自動でアラートを出すようにした。
更に、時間管理に対する意識変革を管理職研修のプログラムに導入し、実態の把握とマインドセットの両輪で「長時間労働の是正」に取り組んでいる。
「管理職の意識変革が不可欠だと考えています。残業の乖離についてアラートを出すようにしたのも、本社が、机上の空論で導入したわけではなく、時代が変化していますよと管理職に気付いてもらうためでもあります。システムとマインドセットを組み合わせることで、当社の新しい文化を作っていきたいのです」(山科氏)



▶システム化による実態把握とマインドセットの両輪で実現 システム化による実態把握とマインドセットの両輪で実現

TimePro-VGの詳細はこちら(アマノ)



業務プロセス管理ツールで 目標管理制度を可視化

BIZPLATFORM

先に紹介したとおり、同社の「人財力の向上」に向けた取り組みとして人事総務部門が注力しているのは「人材の可視化」だ。そして、そのひとつに「評価制度の透明性確保」がある。そのため、同社では新人事評価制度に基づき、適正に目標管理制度の運用が行われるよう、業務プロセス管理ツールの活用を検討している。一次評価、二次評価というプロセスをシステム上で可視化し、運用の適正化と効率化を図るのが狙いだ。
「人材育成のためには、評価制度の透明性は重要だと思います。当社では、業績評価と行動評価という2つの評価があり、個々の社員との評価やコミュニケーションを制度として行っています」と語るのは、執行役員 人事総務部長の城戸尚志氏だ。同社では、今回の会社合併に伴い、職能行動基準を職能階層別に細かく具体的に文書化していると言う。「2社の良いところを持ち寄って、どういう人物であってほしいのか、かなり明確に作ってあります」(山科氏)

一方で、評価そのものの運用に手間がかかっては形骸化する可能性があるため、システムで効率的におこなえるようにすることにも必要性を感じている。
「従来のExcelベースの運用では、従業員に個人の目標をExcelで入力させ、中間期に達成状況の確認、年末に各支店で1次評価、地域の統括部長が2次評価、本社で役員が最終評価というプロセスを踏むため、従業員と拠点の数が多い当社では、運用が煩雑になってしまう。更に、人事総務部門で評価結果を人数分集約するのも大きな手間となっています」(城戸氏)



プロセス管理と情報の一元化で目標管理の運用を効率化

そこで、同社は業務プロセス管理ツールを活用して、目標管理の運用の透明性と効率性を上げるため、クレオが提供するビジネスプロセスマネジメントシステム「BIZ PLATFORM」を検討している。
BIZ PLATFORMなら、従業員はこれまでどおりExcelシートに必要事項を入力し、評価者はマクロプログラムにより抽出された情報をWebブラウザで確認・承認できるようなる。これにより、目標設定から評価までの運用プロセスの管理と、目標・評価結果情報の一元管理ができるようになるからだ。また、過去の従業員の評価に至る経緯もデータとして蓄積されるため、組織変更などで評価者が変わっても、一貫性のある評価と育成がおこなえるようになることも期待している。



人材育成には、人事総務部門の生産性向上が不可欠

人材育成の推進にはシステム化の範囲拡大が必要だと山科氏は語る。今後、更に制度を浸透させれば、人事部門の関連業務は増え、その対応に追われることになる。実際に、資格取得などの支援金制度を始めたところ、利用者の増加に併せて人事総務部門の対応業務も比例して増えてきた。しかし、人材育成のための施策の充実化はこれからも進めいくと言う。
「資格取得支援金制度の場合、当初の利用者は10数人でしたが、今では10倍に伸びました。でも、まだ足らない。もっとやりなさいと呼びかけています」(山科氏)

人事総務部門の対応力を維持するために、今後も施策の浸透に併せ、更なるシステム化が必要であると考えているのだ。



評価制度の効果を上げるために管理職研修にも注力

目標管理制度の適正な運用には、システム化と併せて管理職への評価スキルの育成も欠かせないと、人事総務部 能力開発室長の山科ほとり氏は語る。
「目標管理制度はシステム化だけでは効果を発揮しません。どうやって評価のバラツキを抑えるかといった点でも工夫が必要です。ですから、管理職の評価研修は、名前を伏せて、具体的に良い例と悪い例を見せて、こういう目標の立て方は良いですよ、ダメですよとやっています」(山科氏)

更に、評価コメントの書き方といった細かなところにも、わかりやすく指導をするといった工夫をしている。
「中には一言だけ“よくやった”しかコメントを書かない評価者もいます。何が良かったのかをはっきり書いてあげれば、本人はもっとやる気が出るんです。逆に悪かったところも、何が悪かったのか伝えてあげれば、本人も納得し、また頑張れるんですよと、教えています」(山科氏)

「人財力の向上」には、本人のモチベーションに繋がる「評価」はとても重要だ。同社ではそのことを十分に理解し、目標管理制度の適正な運用と透明性、評価教育に力を入れているのだ。

最後に山科氏が「人財力の向上」に向けて想いを語ってくれた。

「人を育てる施策を充実させることで、現場の管理職が担当者に寄り添って育てていくことを期待しています。そして、そのためにも人事総務部門はシステムをもっと活用し、もっと生産性を向上させる必要があります。」(山科氏)



▶制度運用の適正化と管理職教育で評価制度の透明性を確保 制度運用の適正化と管理職教育で評価制度の透明性を確保

BIZ PLATFORMの詳細はこちら(クレオ)


東武トップツアーズ_外観4

<企業情報>
東武トップツアーズ株式会社
所在地 (本社): 東京都墨田区押上一丁目1番2号
代表取締役社長 : 坂巻 伸昭
従業員数 : 2,472名(平成29年4月現在)
拠点数 : 国内167、海外16




※掲載情報は、2017年7月現在のものです。
※「ZeeM」「SmartStage」および「BizPlatform」は株式会社クレオの商標、又は登録商標です。
※「TimePro」はアマノ株式会社の商標、又は登録商標です。
※本資料に記載されている製品の仕様は2017年7月時点のものです。


<問い合わせ先>
ZeeM 人事給与 / BIZ PLATFORM
株式会社クレオ
東京都品川区東品川4-10-27
http://www.creo.co.jp
03-5783-3540

TimePro-VG
アマノ株式会社
神奈川県横浜市港北区大豆戸町275
http://www.amano.co.jp
045-439-1515


プレスリリースはこちら

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