令和4年の最低賃金
~全国加重平均961円へ~

2022年10月13日
令和4年の最低賃金 ~全国加重平均961円へ~

令和4年10月から改定される最低賃金が、以下のとおりすべての都道府県において決定されました。

◇令和4年度 地域別最低賃金

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引上げ額は、11県で「30円」、20都道府県で「31円」、11県で「32円」、5県で「33円」となっており、中央審議会が示した改定目安を上回る金額で最終決定したところも22県(1円~3円プラス)ありました。

東京は1,072円へ

最低賃金が最も高い東京は「1,072円」です。10年前の平成24年度(850円)に比べると「222円」アップしています。

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最低賃金を下回っていないか確認を

最低賃金の対象となる賃金には、基本給だけでなく手当も含まれますが、次の賃金は含まれません。

【最低賃金の対象とならない賃金】
  • (1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • (2) 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • (3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(固定残業代や時間外手当など)
  • (4) 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日勤務手当など)
  • (5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜勤務手当など)
  • (6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

また、月給の場合であれば、次の算式により時間あたりの金額に換算して確認します。

時間あたりの金額 = ①月給(対象となる賃金) ÷ ②1ヵ月平均所定労働時間

<計算例>

・月給:220,000円
(内、基本給150,000円、職務手当30,000円、通勤手当10,000円、固定残業手当30,000円)

・年間労働日数:250日

・1日の所定労働時間:8時間

・東京勤務
➡ ①月給(対象となる賃金) ÷ ②1ヵ月平均所定労働時間
  = (基本給150,000円 + 職務手当30,000円) ÷ (250日 × 8時間 ÷ 12月)
  = 1,080
  ≧ 1,072

月給は高くても、固定残業手当などの最低賃金の対象とならない賃金の割合が多い場合は、最低賃金を下回っていることがありますので、初任給などについて念のため毎年確認しましょう。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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