【法改正情報】育児介護休業法(2017.10.1改正)

2017年6月21日

2017年3月31日に「雇用保険法等の一部を改正する法律」が国会で成立し、雇用保険法、職業安定法、労働保険徴収法等がまとめて改正されることとなりました。今回はその中でも2017年10月1日に施行される育児介護休業法の内容についてご紹介します。今回改正となる項目は、次の3点となります。

1.育児休業が「2歳まで」延長可能に

現行制度では、原則として、子が「1歳」に達するまで育児休業が可能であり、保育所に入れない等の一定の事情がある場合は、例外として、子が「1歳6ヵ月」に達するまでを上限に休業期間を延長することができます。
この6ヵ月の延長により保育所に入所しやすくなることもあると思いますが、保育所の入所は一般的には年度初めの4月であるため、誕生月によっては、1歳到達後最初に迎える4月まで育児休業期間を延長することができず、保育所への入所しやすさはそれほど変わらない状況もみられました。例えば、8月生まれの場合では、1歳時点で8月入所、1歳6ヵ月時点でも1月入所であり、次の年度初めの4月まで数ヵ月の空白期間が生じてしまう状況となっていました。
今回の改正により、子が1歳6ヵ月に達した時点で、保育所に入れない等の一定の事情がある場合には、子が「2歳」に達するまでを上限に育児休業を再度延長することが可能となっており、誕生月によらず1歳到達後に必ず1回は年度初めの4月を迎えることができるようになります。

育児休業
※厚生労働省「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタートします」より抜粋


2.育児休業等の個別周知の追加

これまでも、育児休業等の制度(休業期間中の待遇や復職後の労働条件等)について定め、従業員に周知することが努力義務とされてきましたが、今回の改正では、育児休業の取得を希望しながら、取得しにくい職場の雰囲気を理由に取得を断念することがないよう、事業主が、従業員やその配偶者が妊娠・出産したことや家族を介護していることを知った場合に、その従業員に対して、個別に、育児休業等の制度について知らせることが努力義務として追加されています。


3.育児目的休暇の追加

これまでも小学校就学前の子について養育しやすい環境を整えるため、法律で義務として要請されている制度以外の時差出勤や短時間勤務等の措置を講ずることが努力義務とされてきましたが、これらの措置に加え、育児に関する目的で利用できる休暇制度(例:配偶者出産休暇、子の行事参加のための休暇等)を設けることが新たな努力義務として追加されています。

育児介護休業法については本年1月1日に改正されたため、本年1月1日付等で就業規則(育児介護休業規程)を改定したばかりだと思いますが、上記1.の項目については本年9月までに就業規則(育児介護休業規程)に反映させて再度改定を行うとともに、上記2.及び3.の努力義務の項目については社内で対応の検討が求められます。





執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー、退職金制度構築支援等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「企業再編・組織再編実践入門」(共著/日本実業出版社)、「まるわかり労務コンプライアンス」(共著/労務行政)他。


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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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