最低賃金額の見直し(答申状況)
~全国加重平均930円へ~

2021年8月25日
賃金の計算

2021年(令和3年)10月から改定される最低賃金額の答申が、すべての都道府県でなされました。

中央最低賃金審議会では、令和3年度の地域別最低賃金額改定の目安として全国一律で「28円の引上げ」が示されていましたが、各地方最低賃金審議会で審議された結果、引上げ額は、40都道府県で「28円」、4県で「29円」、2県で「30円」、1県で「32円」として答申されています。
このあと、異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、最終的な金額が確定する予定です。

◇令和3年度 地域別最低賃金 答申状況(厚生労働省)

東京は1,041円へ

最低賃金額が最も高い東京は「1,041円」となる見込みです。

まだ答申の段階ですが、答申の内容でほぼ確定すると思われますので、2021年10月以降、最低賃金額を下回ることがないか、各都道府県の情報を踏まえて早めに確認しておきましょう。

最低賃金引き上げに伴う助成金など

最低賃金引き上げを支援するため次の助成金などが準備されていますので、該当するものがある場合はぜひこれらの制度も活用しましょう。

◇雇用調整助成金等の要件緩和

業況特例等の対象となる中小企業が事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げる場合、地域別最低賃金が引き上がる2021年10月から12月までの3ヵ月間、休業規模要件(※)を問わずに、雇用調整助成金が支給される予定です。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000814592.pdf
※新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置では、中小企業の場合は、休業規模が1/40以上でないと助成対象になりません。

◇業務改善助成金

中小企業・小規模事業者を対象に、生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー、退職金制度構築支援等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「最新整理 働き方改革関連法と省令・ガイドラインの解説」(共著/日本加除出版株式会社)、「アルバイト・パートのトラブル相談Q&A」(共著/民事法研究会)他。

≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る