【ナレッジセンター】
有期雇用契約における無期転換制度
他社はどうする?「人事担当者が感じた9つの疑問・第3回」

2017年3月14日

平成30年4月に本格運用を控えている 「有期雇用契約における無期転換制度」 。
正社員との差別化や脱法行為とみなされない雇止めなど、「なにをどこまでやるべきか?」判断がつかず、多くの企業が方針検討段階のままでいるのが実情です。 今回は 「無期転換制度の対策」 をテーマに、様々な企業の人事担当者でおこなった意見交換会から、各社が感じている疑問とそれに対する各社の見解について、3回に分けてご紹介します。

Q-7 実際に雇止めはおこないますか?

●サービス業
雇止めはおこないます。そのため、毎月、時給社員の契約と実績を確認し、勤怠が不良であれば、現場上長に連絡し、契約が満了となるようにしています。ただし、いきなり雇止めをすることのリスクを避けるため、「次回更新のタイミングで改善されなければ満了」としています。

●広告サービス業
これから一年間の評価で、無期とするかどうかの審査をするようにしました。
おそらく、対象者の8割から9割は無期となり、1割から2割が雇止めとなる見込みです。

●半導体部品製造業
まずは、現在、有期契約の従業員に対して、残ってもらう人と、そうでない人の見極めをおこないました。
判断基準は、ノウハウの有無としました。

●卸売業
2013年4月に労働契約法が改正された時点で、60名の有期契約者の選別をしました。最終的に半数程度が雇止めの対象となり、その人たちの契約は、2018年までとしました。

●サービス業
弊社では、高齢者が多く、70代になると体力的にも厳しくなってくる人がいますので、その場合は雇い止めをさせていただいています。

●製造業
事務職と専門職など、職種で違いはあると思いますが、専門職種のノウハウがある方には、ずっと在籍してもらいたいと考えています。

他に、「雇止め」に対する会社の方針説明を、どのようにおこなうか?といった課題をもたれている企業が多くありました。会社にとって、更新してほしくない人が更新を望むケース、逆に更新してほしい人が更新を望まないケースもあり、一辺倒の説明の仕方では、納得感のある説明が難しくなるためです。対策例としては、無期転換対象の選別を予めおこなっておき、相手に応じた説明の仕方を、複数用意している企業がありました。
また、雇用保険上、勤続3年を超えると離職原因が「解雇」になってしまうため、3年で必ずグループ会社間で職場を切り替えることをルール化して問題が無いか?といった質問もありましたが、この場合、従業員の雇用保険にも関わってきますので、ルール化は難しいと思われます。

Q-8 無期転換後の定年制度はどのように設定する?

●サービス業
無期転換した雇用者に対し、解雇、定年の条件を設けることを検討しています。
尚、労働局に確認したところ、定年を設けることを推奨していました。

●製造業
長く、高齢者を雇用し続けた前例は作らないほうがよいと思いますので、定年の年齢は65歳程度で考えています。

●専門サービス業
既に65歳を超えて契約しているケースがあるため、現状にあわせて、複数の定年を設定することを検討しています。

●小売・卸売業
定年を定めてしまうと、逆にその年齢までは、必ず雇う必要が出てくることが懸念されますので、60歳前に無期化し、65歳で定年にする方法を検討する必要があると考えています。

●飲食業
若年の人が無期契約となった場合の、定年についても検討しています。方針としては、定年は就業規則にて適用されるため、新たに作成する無期雇用の就業規則に定年制度を含めようとしています。

無期転換後の定年制度については、多くの企業が、新たに設定することを検討しているようです。
また、高齢者が無期契約になった場合、70歳で定年にするなど、第二定年を検討している声もありました。
第二定年につきましては、各社で有用性を判断し、取り決めて構いません。

Q-9 更新期待権はどうやって薄める?

●製造業
更新期待権対策として、定期的な面談が有効と思われますが、拠点が多く面談を本社でおこなうことが現実的でないため、契約書内で明記するか、更新条件を定めるなどの工夫が必要と考えています。

●建設業
長年勤務しているパート社員などが多く、中には、20年以上勤務している人もいるため、本人の期待権は強いと感じている 。対策については、まだ検討中です。

●運送業
2015年に、5年を超えて雇用しない旨を契約書に明記し、取り交わし済みのため、期待権は発生しないようにしています。

●サービス業
まず、方針として、契約の自動更新は行わないとしています。また、雇用契約書の中に、予め契約期間の上限を定めて期待権を薄めていますが、それだけで充分とは思っていません。
有期契約者にも評価制度を採り入れるなどの、追加の対策が必要と感じています。

●広告業
目標を設定するのが有効です。更新の条件に「目標達成」を入れ、契約時に目標達成をしていなければ、更新できない旨を、本人に説明し、理解させています。結果的に、納得感をもって期待権を薄めることができています。

「更新期待権」は、権利が発生する基準が法的に明確に定められた権利ではありません。また、契約内容や他の労働者の更新状況等、個々の事情によって更新権が発生するかどうかの判断も異なります。
安易に期待権を発生させないようにするには、当初の契約から、原則更新無しとするか、更新の条件を明確に定めておくことが確実です。
その他、労働契約書や雇入通知書に期間を明記する/厳格な更新手続をとる/期間満了前に実質的に更新の有無を検討し、面談をして本人の意思を確認する/正社員と区別された「募集」「採用手続」「教育研修」「担当業務」「就業規則」「その他処遇」「異なる労働時間」を定める/採用時に雇用継続の期待を持たせるような言動を控える/更新をしない場合、当該契約の期間満了の30日前までに、その予告をする、といった運用が望ましいと思われます。

最後に

「有期雇用契約における無期転換制度」について、3回にわたり、実際に実務に携わる人事担当者の声をご紹介してきました。専門家による制度解説だけでは得られない有益な情報として、皆様の参考になれば幸いです。
尚、3回分のコラムを一つにまとめたホワイトペーパー版もご用意しております。ご興味のある方は、是非、ダウンロードしていただければと思います。

3回分のコラムをまとめたダウンロード版はこちら
「ディスカッションレポート・有期雇用契約における無期転換制度 人事担当者が感じる9つの疑問」

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