労働保険における「高年齢労働者」の取扱い

2020年4月22日

今回は、2020年4月1日から変更となる労働保険における「高年齢労働者」の取扱いを、これまでの経緯も含めて確認します。

労働保険における「高年齢労働者」の取扱い

雇用保険料の徴収免除

労働保険においては、保険年度(4月から翌3月まで)の初日である4月1日時点で満64歳以上である労働者で、雇用保険の一般被保険者となっている者を「高年齢労働者」といいますが、当該者に関する労働保険料のうち雇用保険料の徴収はこれまで免除されていました。

2016年以前は一部を除き雇用保険の対象外

もともと、雇用保険において65歳以上の者は、65歳に達した日の前日(65歳の誕生日の前々日)から引き続いて雇用されている場合を除き、適用対象外とされていました。
これは、当該措置を講じた1984年(昭和59年)当時は、65歳以上の高齢者の大半は労働生活から引退しており、65歳以降新たにフルタイムの勤務に就き、その後離職して再びフルタイムの雇用に就くための求職活動を行う例は極めて少ないという実態があったことによります。雇用保険は、求職者に対する給付(いわゆる“失業保険”の給付)を主な役割とする保険であるため、実態に即して65歳以上の者は対象外にされていました。

2017年以降は雇用保険の対象に

近年、65歳以上の就労者は1984年当時と比べて大幅に増加しています。また、老後の収入の保障に関する関心も高く、65歳を超えても就労を希望している者が多い状況がみられるなど、高齢者の雇用に関する状況は変化しています。
このような状況を背景に法改正がなされ、2017年1月1日以降、65歳以上で新たに雇用される者についても、失業者のセーフティネットの確保のため雇用保険の適用対象とされました。

2020年3月31日までの経過措置

65歳以上で新たに雇用される者も雇用保険の適用対象とされるのに合わせて、高年齢労働者に関する雇用保険料の徴収免除の仕組みも廃止されましたが、65歳以上の者の多くが中小企業で雇用されていることや、業種によっては雇用保険料の徴収免除の廃止の影響が少なからず生ずる可能性があることを考慮して、2020年3月31日までは経過措置として引き続き雇用保険料の徴収が免除されていました。

2020年4月1日以降の取扱い

先月末日をもって経過措置が終了しましたので、今後は65歳以上の者についても雇用保険料の徴収が必要となります。

2020年4月1日以降の給与計算においては、当該者について雇用保険料の徴収が漏れることがないよう注意が必要です。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー、退職金制度構築支援等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「企業再編・組織再編実践入門」(共著/日本実業出版社)、「まるわかり労務コンプライアンス」(共著/労務行政)他。

≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る