「休○」のいろいろ

2016年5月11日

労務管理を行ううえで、「休○」という言葉が数多く使用されます。
似たような言い回し、表現のものがありますが、意味合いが異なる場合があり、使い方を間違えると労使間のトラブルになり兼ねません。
それぞれの似ている「休○」の違いについてご説明しましょう。


(1)「休○」のいろいろ

●休日
「休日」は、労働基準法第35 条1 項に定めがあり、「毎週1 日の休日か、4 週間を通じて4 日以上の休日を与えなければならない」と規定され、これを「法定休日」といいます。これ以外に就業 規則や労働契約等で予め労働義務がない日と定められている日を「所定休日(法定外休日)」といいます。
「休日」に労働した場合、割増し賃金の対象となりますが、「法定休日」と「所定休日」では割増率が異なりますので注意が必要です。

●休暇
「休暇」は、本来労働義務のある日に労働者の申し出により労働義務を免除する日をいいます。
労働基準法に定めのある法定休暇には、年次有給休暇、生理休暇、産前産後休暇がありますが、年次有給休暇以外は賃金支払の規制はなく、就業規則等で使用者が定めることになります。
慶弔休暇、メモリアル休暇、リフレッシュ休暇等は法的に定めのない法定外休暇で、使用者が独自に定めます。

(2) 代休と振替休日

(1)に記述した「休日」に出勤し、その分を他の労働日に休む場合の扱いには注意が必要です。

●代休
「代休」は、休日出勤をした後にその代償として以後の特定の労働日を休みとするものであり、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

●振替休日
「振替休日」は、予め休日と定められていた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることをいいます。「休日」と「労働日」を振り返るので「休日労働」にはならず、割増賃金の支払義務は発生しません。
但し、振替休日は就業規則への規定が必要であり、運用にあたっては振り替える休日を事前に指定する必要があります。

(3) 休憩と休息

●休憩
「休憩」は、労働基準法第34 条に定めがあり、「労働時間が6 時間を超える場合は少なくとも45 分、8 時間を超える場合は少なくとも1 時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定されています。
休憩時間は労働時間ではなく、労働者が自由に過ごす時間であるため、賃金の支払いは生じません。

●休息
「休息」は、かつて公務員の制度として休息時間が設けられていて、公務員の厚遇に対する批判もあり廃止となったことで有名ですが、「休息」自体には法的な定めはありません。企業単位で就業規則等に定めることがありますが、文字通り「ひと息つく」というレベルから「休憩」とは異なり労働時間の一部と解され、賃金の支払いが発生するのが一般的です。

(4) 休業と休職

「休業」は、労働契約が継続している状態で勤務を免除することをいいます。
使用者側の事情により休業を命じる場合は、労働基準法第26 条の定めにより平均賃金の100 分の60 以上の手当を支払う必要があります。
労働者側の事情による休業には、育児休業、介護休業などがありますが、賃金を支払う義務はありません。
「休職」は、使用者が労働者に業務を行わせることが不適格と判断した場合に勤務を停止させることをいい、私傷病休職、公務休職、組合専従休職等があります。
法的な決まりがないため、企業ごとに就業規則等で休職に関する条件、期間等を規定します。





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SATO社会保険労務士法人
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