<知っておきたい!>同一労働同一賃金の取組強化/労働基準監督署との連携も本格化

2023年4月12日
<知っておきたい!>同一労働同一賃金の取組強化/労働基準監督署との連携も本格化

【5分で納得コラム】今回のテーマは「同一労働同一賃金の取組強化」です。

1. 3/15~5/31は同一労働同一賃金の取組強化期間

物価上昇を背景に賃金引上げを実施した又は実施予定の大企業が増えていますが、これらの流れを中小企業にも波及させられるよう、また、正社員だけでなく非正社員を対象とする賃金引上げにつなげられるよう、厚生労働省では、2023年3月15日から5月31日までを同一労働同一賃金の遵守の徹底に向けた取組強化期間とし、経済団体・業界団体・自治体等に向けて協力依頼文書を発出するなどの集中的な取り組みを実施しています。

2. 労働基準監督署との連携本格化!監督官増員も

その中で、パート・有期雇用労働法及び労働者派遣法の履行確保を強化するための取り組みとして挙げられているのが、労働基準監督署との連携です。これまでは、同一労働同一賃金の徹底に向けて、パート・有期雇用者に関しては各都道府県にある労働局の雇用環境・均等部等において、また、派遣労働者に関しては各都道府県にある労働局の需給調整事業部等において指導等が行われてきましたが、昨年12月からは労働基準監督署との連携を開始し、本年3月からは本格的に実施していく方針が示されています。

今後は、労働基準監督官の臨検(調査)の際に、同一労働同一賃金の対応状況についても確認され、それらの情報も踏まえた労働局の指導が増えていくでしょう。なお、当該業務にかかわる労働基準監督官の52名の増員も予定されているようです。

*「同一労働同一賃金の徹底」(厚生労働省)より

イメージ

3. 助成金など

賃金引上げを行う企業への支援策として、次のものが挙げられています。

業務改善助成金【厚生労働省】

事業場内で最も低い時間給(事業場内最低賃金)を一定額以上引上げ、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練 )を行う中小企業・小規模事業者に、その設備投資等に要した費用の一部を助成する制度

キャリアアップ助成金【厚生労働省】

非正規雇用労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、賃金引上げ等の処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度

中小企業向け賃上げ促進税制【中小企業庁】

青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で賃金引上げを行った場合、その増加額の一定割合を法人税額(又は所得税額)から控除できる制度

企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金)【日本政策金融公庫】

事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げに取り組む中小企業・小規模事業者に対して、設備資金や運転資金を低金利で融資する制度


同一労働同一賃金への対応が遅れている又は今後予定している企業においては、各種支援策の活用も検討しつつ、顧問社労士等の外部専門家に相談するなどして、自社が置かれている状況を踏まえた対応を検討、実施していきましょう。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る