70歳までの就業機会確保措置について

2021年5月12日
シニアビジネスマン

改正の趣旨

少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、令和3年4月1日に施行されました。現時点でこの改正は定年70歳への引上げを義務付けるものではございません。
※努力義務です。

対象となる事業主

・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主

・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主

改正の内容

現行制度(義務)

事業主に対して、65歳までの雇用機会を確保するため、高年齢者雇用確保措置1~3のいずれかを講ずることを義務付け。

①65歳までの定年引上げ

②65歳までの継続雇用制度の導入

③定年廃止

新設制度(努力義務)

事業主に対して、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として1~5いずれかの措置を講じるよう努める必要があります。

①70歳までの定年引上げ

②定年廃止

③70歳までの継続雇用制度の導入

④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に

a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入

※雇用以外の措置(4及び5)による場合は、過半数労働組合等の同意を得た上で、導入する必要があります。

留意事項

・高年齢者就業確保措置は努力義務のため、対象者を限定する基準を設けることも可能です(12を除く)。ただし、対象者基準の内容は、原則として労使に委ねられるものですが、事業主と過半数労働組合等との間で十分に協議した上で、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいです。また、労使間で十分に協議の上で設けられた基準であっても、他の労働関係法令・公序良俗に反するものは認められません。

・5つの措置のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じていただくことが望ましいです。

・複数の措置により70歳までの就業機会を確保することも可能です。個々の高年齢者にいずれの措置を適用するかについては、当該高年齢者の希望を聴取し、十分に尊重して決定する必要があります。

現時点では努力義務であるものの、近い将来に義務化される可能性があります。

執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人

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