日本監査役協会「KAMに関するQ&A集・前編」の公表

2019年8月7日

2019年6月11日付で公益社団法人日本監査役協会から「監査上の主要な検討事項(KAM)に関するQ&A集・前編」が公表されました。そこで、今回はこのQ&Aについて説明します。

日本監査役協会「KAMに関するQ&A集・前編」の公表

1.概要

(1)導入経緯

監査基準の改訂により、金融商品取引法上の監査人の監査報告書に、監査上の主要な検討事項、英語表記で「Key Audit Matters(以下、「KAM」という)」を記載することが義務づけられることになりました。具体的には2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用され、上場会社の監査はすべて対象となります。
KAMそのものは監査人が選定しますが、監査役等(監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会)と協議した事項の中からKAMが選定されるため、監査役等にはKAMの取扱いにおいて重要な役割を果たすことが期待されます。一方で、今までにない新しい制度であるため、実務における影響が懸念されるところでもあります。そこで、KAMの円滑な導入に向けた監査役等の実務支援ツールとして、このQ&Aが作成されました。

(2)Q&Aの内容

前編のQuestionは以下のとおりです。

1.KAMの概要
(1)概要
Q1-1-1.KAMとは何でしょうか。
Q1-1-2.KAMは、いつからどのような会社を対象に適用となるのでしょうか。監査役等としてはいつから対応を開始しなければならないのでしょうか。
Q1-1-3.KAMが導入された場合、監査役等の監査報告書の記載文言を変更する必要があるのでしょうか。
(2)導入の経緯
Q1-2.どのような背景でKAMが導入されたのでしょうか。また、KAMは何を目的としているのでしょうか。
(3)KAMとして考えられる事項はどのようなものか。
Q1-3-1.会社の事業上のリスクがKAMとして記載されるのでしょうか。
Q1-3-2.これまで監査人とコミュニケーションの中で扱われてきた「特別な検討を必要とするリスク」がある事項とKAMとは同じでしょうか。
Q1-3-3.会社にとって未公表であった情報がKAMとして開示されてしまうことがあるのでしょうか。
Q1-3-4.KAMは毎年内容が異なることとなるのでしょうか。
Q1-3-5.KAMは、通常、どの程度詳しく記載されることが予定されているのでしょうか。
Q1-3-6.財務報告に係る内部統制に関する事項がKAMとして記載されることはあるのでしょうか。
Q1-3-7.KAMとして記載されることがないということはあるのでしょうか。逆に、KAMとして多くの事項、例えば、10個以上の事項が記載されることはあるのでしょうか。
Q1-3-8.画一的な記載(いわゆる「ボイラープレート」)が横行し、制度の目的が満たされない懸念はありませんか。
2.導入に向けて
Q2-1.KAMの導入に向けては、どのようなスケジュールが想定されるでしょうか。また、どのような準備を進めるべきでしょうか。
Q2-2.早期適用を社内で決定するに当たっては、誰がどのように決定するのでしょうか。
3.実務上のポイント・前編(おおむね6月頃までに対応が必要となる事項
(1)監査契約
Q3-1.監査契約締結の段階で留意すべき事項は何でしょうか。
(2)監査計画
Q3-2-1.監査計画の策定において、従来行っている監査人とのコミュニケーションに変化があるのでしょうか。
Q3-2-2.監査計画の策定時点で、KAM候補につき執行側とコミュニケーションを行う必要があるのでしょうか。
Q3-2-3.KAMの候補となる項目の検討において監査役等と監査人との間で見解の相違があった場合に、監査役等としてどのように対応すべきでしょうか。
Q3-2-4.KAMの候補となる項目の検討において、監査役等と監査人との間での見解は一致するも、執行側と監査人とで、見解の相違があった場合、監査役等としてどのように対応すべきでしょうか。
Q3-2-5.検討の結果、KAMに選定されなかった事項に対して、監査役としてどのように対応すべきでしょうか。
4.制度と実務対応の今後
Q4-1.今後、KAMは会社法上の監査報告書への拡張はなされるのでしょうか。
5.その他
Q5-1.監査基準の改定により、監査人の監査報告書に、(会社法上、金商法上のいずれにおいても)監査役等の責任として「監査役等には、財務報告プロセスを監視する責任がある」旨が記載されることとなりました。これによって、監査役等に新たな責任が生じるのでしょうか。

2.本Q&Aの活用について

本Q&Aには、KAMの導入にあたって監査人と監査役等がコミュニケーションを図るであろう事項やスケジュールが詳しく書かれています。KAMの導入にあたっては経理部門やIR部門も影響があるため、本Q&Aを参考にしながら、KAMに関して監査役等と適宜にコミュニケーションを取ることも、本Q&Aの一つの活用方法として有用と考えられます。

3.留意点

本Q&A中にあるスケジュールは、3月決算会社を前提に作成しているため、3月決算会社以外の会社では必要に応じて読み替える必要があります。

4.参考

監査上の主要な検討事項(KAM)に関するQ&A集・前編

http://www.kansa.or.jp/support/el001_190611.pdf

執筆陣紹介

仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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