収益認識に関する会計基準(案)~小売業に与える影響~

2017年10月25日

平成29年7月20日に企業会計基準員会より企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第61号「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。
今回は、この公開草案のうち小売業に与える影響について説明します。

小売業に与える影響



1.小売業に与える影響

本会計基準(案)のうち、小売業に影響を与える主な論点は次のとおりです。

項目 概要
消化仕入(売上仕入)の総額表示 代理人として取引を行う場合、収益と費用をネットした利益部分のみを純額で収益計上することになります。
割賦販売の収益認識金額 認識基準について、割賦基準に基づく収益計上が認められなくなります。また、計上金額について、販売価格のうち金利相当額部分は売上高に計上せず、利息法により適切な期間にわたって受取利息等の科目で認識することになります。
ポイント引当金の廃止 将来ポイント使用が見込まれる金額相当について収益を認識せず、負債を認識することになります。
小売業に与える影響仕訳
返品権付き販売の収益認識 権利を得ると見込む対価の額で収益を認識し、対価のうち返品により返金されると見込まれる額については返金負債を認識します。権利を得ると見込む対価及び返金負債の額は各決算日に見直され、認識した収益の額を変更することになります。

このうち、特に影響が大きいと考えられる項目1について説明します。


2.総額表示・純額表示

消化仕入(売上仕入)では、卸売業者から小売業者に商品が納められ、小売業者の店舗に商品が陳列されているものの店舗側に商品の所有権はなく、所有権は卸売業者に残っており、当該店舗で商品の売上が販売されたと同時に所有権が卸売業者から小売業者(店舗)、小売業者(店舗)から消費者に移転します。

総額表示・純額表示

そのため、小売業者(店舗)では在庫リスクを負担していないため代理人に該当するといえ、小売業者では売上と仕入を総額で表示するのではなく、売上高から仕入高を控除した利益額(手数料相当額)のみを売上高として計上することになると考えられます。

なお、総額表示・純額表示の判断にあたっては、商品を支配しているかどうかの観点から次の(1)から(3)のような指標を考慮する必要があり、消化仕入(売上仕入)ではこの(2)を満たさないことになります

(1) 企業が当該財又はサービスを提供するという約束の履行に対して、主たる責任を有していること(例えば、財又はサービスが顧客の仕様を満たしていることについての主たる責任といった財又はサービスの受入可能性に対する責任)
(2) 企業が在庫リスクを有していること
(3) 当該財又はサービスの価格の設定において企業が裁量権を有していること




執筆陣紹介

仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

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