2023年4月1日
中小企業法定割増賃金率の引き下げ

2022年4月7日

1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合の法定割増賃金を50%以上に引き上げる改正は、2023年4月以降、中小企業にも適用されます。

【改正のポイント】

1ヶ月の起算日からの時間外労働時間数を累計し60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

割増賃金率及び1ヶ月の起算日については「賃金決定、計算及び支払いの方法」に該当するので、就業規則に規定する必要があります。

深夜割増賃金との関係

深夜(22:00~5:00)の時間帯に月60時間を超える労働を行わせた場合、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

例)時給¥1,000の場合
〇 ¥1,000×75%=¥1,750
× (¥1,000×25%)×50%=¥1,875

施行日をまたぐ1ヶ月について

施行日である2023年4月1日からの時間外労働を累積し計算します。「60時間」の計算における1ヶ月を毎月21日~20日としていた場合は2023年4月1日~2023年4月20日までの時間外労働時間数が60時間を超えた部分について適用されます。

【代替休暇】

1ヶ月60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者は、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができることになります。

・労使協定で定めるべき4つの事項

  1. 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
  2. 代替休暇の単位
  3. 代替休暇を与えることができる期間
  4. 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払方法

代替休暇を取得した場合、代替休暇に対して支払われた賃金額に応じた時間外労働時間数に相当する引上げ分の割増賃金の支払いが不要となります。

個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは労働者の意思により決定されます。

代替休暇の制度を設ける場合には就業規則にその内容を規定する必要があります。

執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人

SATO社会保険労務士法人は、企業に働く従業員の社会生活上欠かす事のできない社会・労働保険の業務を、高レベル・平準化されたサービスとして提供する業界のパイオニア。組織の強化を図り、「大規模事業場向け」「大量処理」を実現し、東京・札幌・大阪・名古屋・福岡を拠点に、高品質なサービスを全国に提供しています。

≪SATO社会保険労務士法人の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る