7月15日までに提出「障害者雇用状況報告」

2025年7月10日
7月15日までに提出「障害者雇用状況報告」

【5分で納得コラム】今回のテーマは「障害者雇用状況報告」についてです。

7月15日までに提出「障害者雇用状況報告」

1. 「障害者雇用状況報告」とは

事業主は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(43条7項)に基づき、毎年一回、障碍者の雇用に関する状況を、ハローワークを経由して厚生労働大臣に報告しなければなりません。
具体的には、毎年6月1日の障碍者の雇用に関する状況を、7月15日までに、所定の「障害者雇用状況報告書」に必要事項を記入して報告します。報告義務がある事業主は、1人以上の障碍者を雇用する義務がある事業主で、具体的には企業全体の常用雇用労働者(除外率により除外すべき労働者を控除した数)が40人以上の事業主になります。
※独立行政法人、公団、公庫等の一定の特殊法人については、常用雇用労働者が36人以上の事業主になります。

なお、上記の報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は、罰則(30万円以下の罰金、同法律86条1号)の対象になります。

2. 令和6年の集計結果

厚生労働省から公表された「令和6年の障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業に雇用されている障碍者の数及び実雇用率は以下のとおりで、いずれも過去最高になっています。

【民間企業】
・雇用数  677,461.5人(前年比5.5%増)
・実雇用率 2.41%(前年比0.08ポイント増)

現在の民間企業の法定雇用率は2.5%ですので、実雇用率は法定雇用率をわずかに下回る水準まで増加していますが、民間企業で法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%(前年比4.1ポイント減)と前年より低下しています。

なお、2026年7月から法定雇用率が引き上げられ、民間企業の法定雇用率は2.7%になりますので、1人以上の障碍者を雇用する義務がある対象は、現在の常用雇用労働者40人以上の事業主から37.5人以上の事業主に変わります。

3. 助言・指導への活用

「障害者雇用状況報告書」は、障碍者の雇用状況等を把握し、今後の施策検討に役立てるとともに、事業主に対する助言・指導・調査等を行うための基本情報として用いられます。具体的には、以下の流れで、実雇用率が低い事業主への指導が行われます。

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なお、令和5年度の指導実績は、「雇入れ計画作成命令」の対象は219社、「適正実施勧告」の対象は63社、「特別指導」の対象は33社となり、「企業名の公表」の対象は1社(再公表)になっています。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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