労災保険のメリット制
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【5分で納得コラム】今回のテーマは「労災保険のメリット制」についてです。
労災保険のメリット制
1. 労災保険率
労災保険率は、過去3年間の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率や、二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容等を考慮して、事業の種類ごとに定められています。なお、令和7年度の労災保険率は以下のとおりです。
2. 労災保険の「メリット制」
労災保険率は、前述のとおり、業種間の負担の公平を図るため事業の種類ごとに定められていますが、事業の種類が同じであっても、作業工程、作業環境、機械設備、事業主の災害防止努力の違い等により、それぞれの事業場における災害率には当然のことながら差が生じます。
そこで、事業主の負担の公平を図るとともに、災害防止努力を促進するため、一定規模以上の事業については、納付した保険料額と支払われた保険給付等の額との割合に応じて、一定の範囲内(基本±40%、例外もあり)で労災保険率又は労災保険料額を増減させる制度を設けています。これを労災保険の「メリット制」といいます。3. メリット制の適用状況
厚生労働省作成の資料によれば、令和5年度にメリット制が適用された事業場(継続事業、一括有期事業、単独有期事業合計)は147,302事業場(全事業場の約4%)で、そのうち8割を超す事業場で労災保険率が引き下げて適用され、またその半数近くが「−40%」で適用されています。 なお、メリット制による影響額を例示すると、以下のとおりです。
年に一度の労働保険料の申告期日が7月10日に迫っていますが、メリット制が適用される場合には、6月上旬ごろに厚生労働省から送付されてきた「年度更新申告書」に同封されている「労災保険率決定通知書」でその内容を確認することができます。
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。