【ナレッジセンター】
不満を感じるのはコストよりも操作性
~大手・中堅企業の会計システム利用事情~

2017年3月3日

クレオマーケティングが独自におこなった「会計システムの利用動向調査」から、システム選定のポイントに繋がる要素について、ご紹介します。
今後のシステム検討の参考となれば幸いです。

1.はじめに

ある外部の調査会社の発表によると、2016年度・国内ERP市場の伸長が堅調であるのに対して、その内の、会計システムにいたっては鈍化傾向にあるという統計があります。
理由としては、消費税増税と軽減税率の導入先送り、電子帳簿保存法の要件緩和のインパクトが薄いなど、本来であれば、システム刷新を後押しするはずの外的要因が少ないからだとしています。

では、2017年度以降はどうでしょうか?

クレオマーケティングでは、会計システムの市場ニーズ調査を独自におこなっています。 今回のナレッジセンターでは、その独自調査の結果から見える、会計システムの利用状況や満足度、今後の見直し予定など、各社の利用事情を一部ご紹介します。
今後のシステム検討の参考にしていただければ幸いです。

尚、独自調査は、大手・中堅規模の企業を対象としており、財務会計と管理会計を合わせて「会計システム」として利用している、都内170社の企業(※1)に、システム名や維持コストなどの利用状況を確認しています。
ここでは、そこから一部(※2)をご紹介をしていきます。
また回答者は、経理部門で会計システムを実際に利用している、業務担当者が大半を占めています。

※1 調査対象:以下条件に当てはまる170社

実施時期 2016年12月
対象エリア 東京都内に本社を有する企業
対象規模 大手・中堅規模の民間企業(年商、人数構成より判断)
調査方法 電話によるヒヤリング方式
対象条件 財務会計と管理会計を「会計システム」として利用している

※2 調査項目:実際に調査した項目の一部を抜粋

・利用形態(SaaS、ASPを含むパッケージか自社開発か)
・利用年数
・見直し検討の有無
・利用業務範囲(財務・管理・債権・債務・資産・経費)
・維持コスト
・不満点

2.調査対象について

調査を実施した企業は、製造業が最も多く、全体の33%(※3)、次にサービス業(22%)、卸売・小売業(16%)でした。
また、現状の会計システムの利用形態としては、ASP・SaaSを含むパッケージ利用が79%で、自社開発は20%となっています(※4)。

※3 産業分類

※4 利用形態

3.7割弱の企業が、現行システムを長く利用する意向

まず、現行の会計システムの利用年数は「5年以上10年未満」が最も多く28%、次いで「10年以上20年未満」が24%となりました(※5)。
平均的に業務パッケージの更新機会となる「5年」を超えている企業は96社で全体の57%にあたります。反対に、3年未満は20%でした。

※5 会計システムの利用年数

そして、5年以上利用している企業の85%にあたる82社が、今後も「システム見直しの予定は無い」としています。
これは、利用年数3年未満の企業と合わせ、実に117社(全体の69%)の企業が、この2~3年で会計システムを見直すことは無いということになります。

次に、システムの見直しを検討しない理由について触れたいと思います。

4.グループ会社との絡みがあり、単独では検討できない

「現状に満足」を除けば、システム見直しを検討しない理由としては、「グループ会社と連携していて、単独で検討できない」や「親会社の意向だから」といった、グループ会社との絡みによる回答が目立ちました(※6)。
また、「カスタマイズが多く、リプレイスは不可能」が次に多く、これは、自社の業務特性に併せたカスタマイズの投資コストが膨らんでいること、現場のオペレーションの変更が難しいといった理由によるものです。
また、少数ではありますが、使い慣れているといった「操作性」や、保守メンテの「コストの安さ」が、検討をしない理由という回答もありました。

※6 会計システムを見直さない理由

5.半数の企業が、債務モジュールを併せて利用している

今回の調査では財務会計と管理会計を「会計システム」、債権債務などの周辺業務に対応する機能は「会計システムが提供する関連モジュール」と定義して、関連モジュールの利用状況も調査しています(※7)。

最も利用が多かったのは「債務管理モジュール」で、47%の企業が会計システムと同時に導入しています。
また、ワークフローによる「経費精算モジュール」は、全体の29%と、今回の調査では最も利用が少ない関連モジュールとなりました。
経費精算モジュールについては、「有れば便利だと思うが、現行の運用で支障がなく、投資額にみあった費用対効果を出すのは難しい」と言った声がありました。

※7 利用モジュール

モジュール 社数 比率
債権管理 80 47%
債務管理 85 50%
固定資産管理 71 42%
経費精算+ワークフロー 49 29%

6.現行の会計システムのどこに不満を感じている?

利用年数に関わらず、現在利用している会計システムに対する不満について確認したところ、大きくは「コスト」「サポート」「機能不足」「操作性」「法改正対応」「他システムとの連携性」「老朽化」に分かれました。 傾向としては、全体の47%の企業が「操作性」であると応えており(※8)、次いで「コスト」(12%)、「サポート」(10%)、「機能不足」(10%)となりました。
更に、「操作性+コスト」と複数選択をした5%の企業も、それぞれに含めると、
操作性・・・53%
コスト・・・17%
となり、会計システムに対する不満は、圧倒的に「操作性」であることがわかりました。

※8 会計システムの不満

最後に

今回の市場調査の結果から読み取れることは、会計システムは、大きな法改正などの外的要因が無い限り、現行のシステムを利用し続ける傾向にあることがわかります。
ただし、グループ統合がいきわたるなど、システム運用の利便性やコスト圧縮の対策はとれているものの、現場の使い勝手に対する不満は解消されずにいることもわかります。
恐らく、システム選定時に、操作性についてはプライオリティが低かったか、詳しく評価できなかったことが考えれます。

そして、操作性を不満に感じる声が圧倒的に多かったことから、「使いにくいシステムを長く使わなければならない」状態が、システムを利用する現場にとって「一番の課題」であることもわかりました。

次に会計システムを見直す際は、どこまで「操作性」を追求できるかが、その後の現場の業務改善の「鍵」なのかもしれません。

尚、ナレッジセンターでは「会計システムの見分け方」と題して、会計システムを選定する際の「気をつけるポイント」もご紹介しています。ご興味がございましたら、是非、併せてご覧ください。

【ナレッジセンター】会計システムの見分け方(前編)へ
【ナレッジセンター】会計システムの見分け方(後編)へ

コラム一覧に戻る