2015年改正派遣法への対応~派遣受入期間の制限~

2018年4月26日

3月22日コラム 2015年改正派遣法への対応~特定労働者派遣事業区分の撤廃~ に引き続き、2015年改正の労働者派遣法の概要を再確認します。今回は、派遣受入期間の制限についてです。

派遣受入期間の制限_クレオ



「事業所単位」と「個人単位」の制限

法改正により、期間制限を受けない特例※1に該当する場合を除き、「事業所単位」と「個人単位」の2つの点から派遣受入期間が制限され、その内容は下表の通りとなっています。

原 則 例 外
事業所単位 同一の事業所※2における派遣受入期間は3年上限 過半数労働組合等の意見を聴取する手続きを行うことで派遣受入期間の延長が可能
個人単位 同一の組織単位※3における派遣受入期間は3年上限

「事業所単位」では、例外の適用を受ければ同一の事業所で3年を超える派遣受入が可能ですが、「個人単位」では例外の適用はありませんので、同一の派遣労働者については、同一の組織単位で3年を超えて派遣受入をすることはできません。
なお、当該期間制限の対象となる派遣は、改正法施行日(2015年9月30日)以降に締結された派遣契約によって行われる派遣期間となり、施行日前に締結された派遣契約によって行われる派遣期間は対象となりません。
また、派遣期間と次の派遣期間の間が3ヵ月を超えている場合は、前後の派遣期間は通算されません(いわゆるクーリング期間)。

※1
「期間制限を受けない特例」とは、次に該当する場合をいいます。
・派遣元で期間の定めなく雇用された者が派遣される場合
・60歳以上の者が派遣される場合
・有期プロジェクト業務に従事するために派遣される場合
・日数限定業務に従事するため派遣される場合
・産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に従事するために派遣される場合

※2
「事業所」とは、雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的に同じで、次の観点等から実態に即して判断されます。
・工場、事業所、店舗等、場所的に他の事業所から独立していること。
・経営の単位として人事、経理、指揮監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること。
・一定期間継続し、施設としての持続性を有すること。

※3 「組織単位」とは、課・グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織で、かつ、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有しているもので、名称にとらわれることなく実態に即して判断されます。なお、派遣先の組織の最小単位よりも一般に大きな単位が想定されています。




「事業所単位」の例外の手続き

同一の事業所で3年を超えて派遣受入をする場合は、派遣受入期間が終了する1ヵ月前までに、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、当該労働組合がない場合は事業所の労働者の過半数を代表する者(以下、過半数労働組合等)の意見を聴取する手続きが必要となります。
なお、意見聴取にあたっては、次の点に注意する必要があります。

・労働者の過半数を代表する者を選出する場合は、民主的な方法による等、法令に従った適切な方法により選出する。
・意見聴取する際は、派遣先は、過半数労働組合等に「派遣受入期間を延長しようとする事業所」及び「延長しようとする期間」を書面で通知する。また、意見を述べるために参考となる資料(例:派遣労働者数と派遣先の正社員数の推移の資料)の提供する。
・聴取した意見は書面に記載して3年間保存するとともに、派遣先の労働者へ周知する。
・意見聴取の結果、過半数労働組合等が異議を述べたときは、派遣受入期間が終了する日までに、派遣受入期間の延長の理由や過半数労働組合等の意見への対応方針を説明する。また、これを書面で3年間保存し、派遣先の労働者へ周知する。




派遣受入期間を超えてしまったら?

期間制限を受けない特例に該当する場合を除き、過半数労働組合等への意見聴取を行うことなく同一の事業所で3年を超えて派遣労働者を受け入れた場合(「事業所単位」の期間制限違反)や、同一の組織単位で3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れた場合(「個人単位」の期間制限違反)は、労働契約申込みみなし制度が適用され、派遣先の意向に関わらず、派遣先が派遣労働者へ労働契約の申込みをした扱いとなり、派遣労働者が承諾すれば労働契約が成立することになります。
また、労働者の過半数を代表する者を適切に選出していない場合も、意見聴取が行われていないものと同じ扱いとなり、労働契約申込みみなし制度が適用されることになります。

早ければあと約5ヵ月で、3年の派遣受入期間に達する可能性があります。
派遣労働者を受け入れている場合は、派遣受入期間を再確認した上で、必要な手続きを早めに行いましょう。





執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー、退職金制度構築支援等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「企業再編・組織再編実践入門」(共著/日本実業出版社)、「まるわかり労務コンプライアンス」(共著/労務行政)他。


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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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