健康保険の被扶養者
19歳以上23歳未満の認定基準

2025年9月25日
健康保険の被扶養者 19歳以上23歳未満の認定基準

【5分で納得コラム】今回のテーマは「健康保険の被扶養者 19歳以上23歳未満の認定基準」です。

健康保険の被扶養者 19歳以上23歳未満の認定基準

1. 健康保険の被扶養者

健康保険の被扶養者は、健康保険料を支払うことなく、けがや病気のときなどに保険給付を受けることができますが、被扶養者の認定にあたってはいくつかの要件があります。そのひとつが「主として被保険者の収入により生計を維持する者」に該当することです。
「主として被保険者の収入により生計を維持する者」に該当するか否かは、基本的には以下の基準により判断されます。

①対象者が被保険者と同一世帯に属している場合

対象者の「年間収入」が以下のいずれも満たすこと
・130万円未満
(対象者が60歳以上又は障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
・被保険者の年間収入の2分の1未満

②対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合

対象者の「年間収入」が以下のいずれも満たすこと
・130万円未満
(対象者が60歳以上又は概ね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
・被保険者からの援助による収入額より少ない

なお、上記の基準に該当しない場合でも、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるなどの具体的事情に照らして、「主として被保険者の収入により生計を維持する者」に該当すると判断される場合があります。

2. 19歳以上23歳未満の認定基準の一部見直し

令和7年度の税制改正では、厳しい人手不足の状況における就業調整対策等のため、2025年12月から、19歳以上23 歳未満の者への特定扶養控除の要件の見直しや特定親族特別控除の創設が行われますが、この税制改正の趣旨との整合性を図る観点から、健康保険においても、19歳以上23歳未満の被扶養者(配偶者を除く。)の前述の基準のうち、年間収入「130万円未満」の部分については「150万円未満」に見直すことになりました。この適用は2025年10月1日からとなります。

なお、年間収入とは、対象者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込んで判断するもので、所得税法上の扶養控除における考え方とは異なります。

3. 対象は学生のみ?

今回の見直しの対象からは、配偶者は除かれますが、学生の要件は付されていませんので、あくまで19歳以上23歳未満である者となり、その年の12月31日現在の年齢で判断されます。
なお、年齢は、“誕生日”に到達して加算されると誤解しているケースがよくみられますが、“誕生日の前日”に到達して加算されますのでご注意ください。

例 2026年1月1日が23歳の誕生日の場合
  ➟”誕生日の前日“である2025年12月31日に年齢が加算されて23歳になりますから、
   今回の見直しの対象にはなりません。

上記の見直しについて被保険者である従業員等に周知し、被扶養者の追加があれば「健康保険 被扶養者(異動)届」の提出手続きを行いましょう。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る