企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱いFAQ

2021年7月7日
感染予防対策イメージ

1.はじめに

新型コロナウイルスの感染防止対策のために、各企業内で様々な施策が行われていることと思います。企業の担当者様におかれましては、企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合における給与課税の要否を悩むこともあるのではないでしょうか。

2021年5月31日に「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に「企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱い」が追加されました。今回はこの概要をご紹介したいと思います。

2.感染予防対策費用の例示

(1) マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費

① 給与所得課税の対象とならないもの

ア) 業務のために通常必要な費用(例えば、勤務時に使用する通常必要なマスク等の消耗品費)について、従業員からその費用に係る領収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する金銭(イメージ図では、「実費精算方式」と呼称しています。)

イ) 企業が直接配付するマスク等の消耗品(業務のために通常必要なものに限る。)

② 給与所得課税の対象となるもの

ア) 業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、勤務とは関係なく使用するマスク等の消耗品費)について支給するもの

イ) 従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するマスク等の消耗品

ウ) 予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がない金銭(例えば、企業が従業員に対して毎月 5,000 円を渡切りで支給する場合(イメージ図では、「渡切り方式」と呼称しています。))

(2) 従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費

① 給与所得課税の対象とならないもの

ア) 業務のために通常必要な費用(例えば、テレワークを行うための環境整備費用など)について、従業員からその費用に係る領収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する金銭(備品の所有権を従業員が有するものは除く。イメージ図では、「実費精算方式」と呼称しています。)

イ) 専ら業務に使用する目的で従業員に貸与する企業が所有する備品

② 給与所得課税の対象となるもの

ア) 業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、勤務とは関係なく使用する電化製品など)

イ) 予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がない金銭(イメージ図では、「渡切り方式」と呼称しています。)

ウ) 備品の所有権を従業員が有するもの(貸与ではなく支給するもの)

(3) 感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など

① 給与所得課税の対象とならないもの

ア) 業務のために通常必要な費用(例えば、職場以外の場所で勤務することを企業が認めている場合のその勤務に係る通常必要な利用料、交通費など)について、その費用を精算する方法で、企業が従業員に対して支給する一定の金銭(イメージ図では、「実費精算方式」と呼称しています。)

イ) 業務のために通常必要な費用を企業の旅費規程等に基づいて、企業が従業員に対して支給する一定の金銭

ウ) 企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合(業務のために通常必要な費用に限る。)

② 給与所得課税の対象となるもの

ア) 業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、従業員が自己の判断によりホテル等に宿泊した場合の利用料など)

イ) 予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの(イメージ図では、「渡切り方式」と呼称しています。)

(4) PCR検査費用、室内消毒の外部への委託費用など

① 給与所得課税の対象とならないもの

ア) 業務のために通常必要な費用(例えば、企業の業務命令により受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭(イメージ図では、「実費精算方式」と呼称しています。)

イ) 企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合(業務のために通常必要な費用に限る。)

② 給与所得課税の対象となるもの

ア) 業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、従業員が自己の判断により受けたPCR検査費用や、従業員が自己の判断により支出した消毒費用など)

イ) 予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの(イメージ図では、「渡切り方式」と呼称しています。)

(参考)

国税庁HP「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」、問9-5《企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱い》企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱いFAQ【確定版】

以上

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仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

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