マイナンバー制度導入に向けての対応
(就業規則の追加事項)

2015年8月11日

さて、みなさんマイナンバー制度導入に向けて、準備中のことかと思いますが、今回はマイナンバーを収集する際の利用目的の明示について、確認したいと思います。

個人情報保護法の導入時にも「個人情報の利用目的」の明示が求められ、就業規則上や個別の雇用契約書の中に利用目的を追加する対応をされた企業様が多いと思いますが、今回のマイナンバー制度の導入においても、同様の対応が必要となります。

マイナンバー法に特段の規定がない限り、マイナンバーを含む『特定個人情報』にも個人情報保護法が適用されるので、同法第18条に基づき、マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表する必要があります。通知方法は、個別通知(書類)や社内LAN、就業規則への記載などが考えられます。

また、複数の利用目的をまとめて明示することは可能ですが、利用目的を後から黙って追加することはできませんのでご注意ください。なお、利用目的に対して従業員の「同意」を得る必要はありません。

下記は、就業規則に追加する規定例となりますので、ご参考にしてください。

規定例①(マイナンバーの通知)

第●条 従業員は、採用時に会社にマイナンバーを通知しなければならない。

  • 2.会社は、従業員に対して、身分確認のために写真付きの身分証明書の提示を求めることがある。
  • 3.従業員が扶養対象親族を有し、扶養対象親族のマイナンバーを会社に通知するにあたっては、虚偽のないように確実に確認をしなければならない。
規定例②(マイナンバーの利用目的)

第●条 会社は、従業員および扶養対象親族のマイナンバーについて、以下の手続きに利用することができる。

  • (1)健康保険・厚生年金保険関係届出事務
  • (2)雇用保険関係届出事務
  • (3)労働者災害補償保険法関係届出事務
  • (4)国民年金第三号被保険者関係届出事務
  • (5)給与所得・退職所得に係る源泉徴収票作成事務

企業におけるマイナンバー利用で一般的に想定されるのは、「源泉徴収票作成事務※」、「労働保険・社会保険届出事務」になります。従業員持株会を実施している企業の場合は、「従業員持株会事務」等も該当してきます。ただし、従業員持株会事務にマイナンバーを利用するために収集する場合、入会した時点で利用目的を明示することとされています。

※「源泉徴収票作成事務」との記載であっても、給与支払報告書や退職所得の特別徴収票も含まれると解されています。

最後になりますが、就業規則にマイナンバーの利用目的を記載する場合、それが従業員に確実に周知されるかどうかがポイントとなりますので、”周知”に関しては説明会の場で就業規則の該当箇所を配布するなど、従来以上に確実な方法で実施することが必要となります。

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