「女性活躍推進法」情報公表の必須項目拡大

2026年1月15日
1.女性活躍推進法の有効期限延長

【5分で納得コラム】 今回のテーマは「女性活躍推進法」情報公表の必須項目拡大についてです。

「女性活躍推進法」情報公表の必須項目拡大

1. 女性活躍推進法の有効期限延長

女性活躍推進法は、女性一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するため、国、地方公共団体、民間事業主のそれぞれにおける女性の活躍推進に関する責務等を定めたもので、2016年4月1日から2026年3月31日までの10年間を有効期間とする時限法として制定されました。

この10年間で、働く人の意識の変化や、下表に示すとおり各種数値の改善が見られた一方、148ヵ国を対象にジェンダー平等の進展状況を測定した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(2025)」(世界経済フォーラム)によれば、日本の順位は118位にとどまっており、継続的な取組みが必要な状況にあるといえます。

女性活躍の状況に係る各種指標の推移

イメージ

※「労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)参考資料」(厚生労働省)より抜粋

このような状況の中、女性活躍推進法の有効期限を2036年3月31日までとする法改正がなされ、当該法律の適用が10年間延長されることになっています。

2. 情報公表の仕組み

就職活動中の学生などの求職者が企業を選ぶ際に、女性が活躍しやすい企業ほど優秀な人材が集まり、競争力の向上につながるような社会環境を整備して、市場を通じた社会全体の女性活躍の推進を図ることを目的に、女性活躍推進法には「情報公表の仕組み」が設けられています。

具体的には、下表のとおり、企業規模に応じて、女性活躍に関する一定の情報を公表することを事業主に義務づけています。

対象事業主 公表すべき項目(義務)
常時雇用する労働者数が301人以上の事業主 ①男女の賃金の差異
②「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(①を除く。)」のうちから1項目以上
③「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」のうちから1項目以上
常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主 ①「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」又は「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」のうちから1項目以上

◇「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」の項目

  • ・ 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • ・ 男女別の採用における競争倍率
  • ・ 労働者に占める女性労働者の割合
  • ・ 係長級にある者に占める女性労働者の割合
  • ・ 管理職に占める女性労働者の割合
  • ・ 役員に占める女性の割合
  • ・ 男女別の職種又は雇用形態の転換実績
  • ・ 男女別の再雇用又は中途採用の実績
  • ・ 男女の賃金の差異

◇「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」の項目

  • ・ 男女の平均継続勤務年数の差異
  • ・ 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
  • ・ 男女別の育児休業取得率
  • ・ 労働者の一月当たりの平均残業時間
  • ・ 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  • ・ 有給休暇取得率
  • ・ 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

3. 必須項目の拡大

男女の賃金の差異の公表等の女性活躍推進の取組みを行った企業では、公表を契機として、差異要因の分析や社内での現状共有が進み、具体的な取組みや社内外での評判の向上にもつながったという例が見られているようです。このことなどから、2026年4月1日から情報公表の必須項目が拡大されます。

具体的には、下表の下線部分が拡大され、常時雇用する労働者数が101人以上の事業主においては、「男女の賃金差異」及び「女性管理職比率」が公表項目として必須になります。

対象事業主 公表すべき項目(義務)【2026年4月1日~】
常時雇用する労働者数が301人以上の事業主 ①男女の賃金差異
②女性管理職比率
③「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(①②を除く。)」のうちから1項目以上
④「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」のうちから1項目以上
常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主 ①男女の賃金差異
②女性管理職比率
③「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(①②を除く。)」「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」のうちから1項目以上

情報の公表にあたっては、自社の実情を正しく理解してもらうために「説明欄」を有効活用することが望ましいとされていますので、すでに公表されている他社事例なども参考にしつつ、補足説明も含めて準備をすすめましょう。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所)、「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会)、「労災の法律相談〔改訂版〕」(共著/青林書院)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社)、「労務トラブルから会社を守れ!労務専門弁護士軍団が指南!実例に学ぶ雇用リスク対策18」(共著/白秋社)など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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