個人型確定拠出年金加入対象範囲拡大について/インフルエンザによる就業制限について/国民年金基金の加入要件の緩和について

2017年3月8日
個人型確定拠出年金加入対象範囲拡大について

平成28年5月24日に成立した確定拠出年金の改正法により、平成29年1月から、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の加入対象者範囲が拡大しました。

<iDeCo(個人型確定拠出年金)とは>
国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せして個人が任意で加入する私的年金の1つであり、決まった額の掛け金を積み立てて株式や債券等に投資し、元本と運用益を年金として受け取るものです。
※米国の401kにならい制度設計がされた経緯があるため日本版401kと呼ばれることもあります。
個人型確定拠出年金=個人型 DC=個人型 401k=iDeCo となります。

<対象範囲拡大の背景>
公的年金は現役世代が負担する保険料を高齢者に配分する「仕送り方式」の為、少子高齢化で現役世代人口が減少すると支給額も目減りとなり、公的年金だけでは十分な暮らしを送る事が困難となる人が増えるとみられています。対象範囲を拡大する事で老後の資金を補ってもらうのが政府の狙いです。

<主な変更点>
平成28年12月まで:自営業者の方(第1号被保険者)や企業年金のないサラリーマンが加入対象
平成29年1月以降:専業主婦や公務員の方を含め、基本的には20歳以上60歳未満のすべての方が加入対象

<注意点>
掛金が全額所得控除となる、運用益は非課税で再投資される等の税制優遇措置もありますが、運用は加入者自身の自己責任の為結果次第では年金額に変化が生じる可能性がある事、口座管理手数料が発生する事、途中での引き出しに制限がある事といった加入に当たっての留意事項があります。

<まとめ>
今回の改正により、老後の生活資金を蓄えるための手段の一つとして有効度が高まったと考えられるでしょう。すぐに始めるかどうかは別として、概要だけでも理解して老後の生活に備えたいものです。

インフルエンザによる就業制限について

毎年冬から春にかけて流行するインフルエンザをはじめとする、感染症に罹患した従業員の就業制限についてご紹介します。

感染症法第18条では、感染症による就業制限の対象として、以下第1類~3類、また新型インフルエンザ等が挙げられており、従来からある季節性インフルエンザはこれには含まれていません。

<第1類感染症>
(1)エボラ出血熱、(2)クリミア・コンゴ出血熱、(3)痘そう、(4)南米出血熱、 (5)ペスト、(6)マールブルグ病、(7)ラッサ熱

<第2類感染症>
(1)急性灰白髄炎、(2)結核 、(3)ジフテリア、(4)重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)、(5)中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)、(6)鳥インフルエンザ(H5N1)、 (7)鳥インフルエンザ(H7N9)

<第3類感染症>
(1)コレラ、(2)細菌性赤痢、(3)腸管出血性大腸菌感染症、(4)腸チフス、(5)パラチフス

参考:厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html

季節性のインフルエンザにかかった従業員に対しては、国の法律を根拠に出勤停止を命じることはできません。会社として他従業員への感染リスクを避けるためには、就業規則にて就業禁止について定めておく必要があります。

国民年金基金の加入要件の緩和について

国民年金基金は、これまで日本国内に住所を有し、国民年金の保険料を納めている20歳以上60歳未満の方および60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入されている方が加入できる制度でしたが、平成29年1月から、海外に居住されており国民年金に任意加入されている方も国民年金基金に加入できるようになりました。

【ご注意点】
○原則として国内協力者(配偶者、子、父母、兄弟姉妹など)を指定いただき、本人に代わって諸手続を おこなっていただきます。
○基金ご加入後にご自分の都合で任意に脱退及び中途解約することはできません。
※その他様々な注意点がございます。
加入の手続や保険料納付方法などの詳細につきましては、最後に住所を有していた都道府県の国民年金基金又は加入していた職能型の国民年金基金にお問合せ下さい。

<国民年金任意加入制度とは?>
60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合であって、厚生年金・共済組合に加入していないときは、60歳以降(申出された月以降)でも任意加入することができま。ただし、さかのぼって加入することはできません。

以下の場合に任意加入可能です。

1.年金額を増やしたい方は65歳までの間
2.受給資格期間を満たしていない方は70歳までの間
3.外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人の方も任意加入することができます。

なお、平成20年4月1日から3.を除き保険料の納付方法は、口座振替が原則となりました。
日本国内に居住している方の任意加入のお申込窓口は、お住まいの市区役所・町村役場です。





執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人
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