短時間被保険者の区分変更届の提出/厚生年金受給者への影響は?

2016年12月7日
短時間被保険者の区分変更届の提出

短時間被保険者の資格取得の届出
今回の適用拡大によって、新たに社会保険に加入する人の事を『短時間被保険者』といいます。
特定適用事業所に該当するかしないかを判断するにあたって、一般の被保険者数(厚生年金の被保険者者数)の把握が必要です。
この為、今後の資格取得届について、新たに一般の被保険者であるか短時間被保険者であるかの区分を届出頂く為の項目が設定されます。

一般被保険者と短時間被保険者間の区分変更の届出
特定適用事業所の該当・不該当を判断するにあたり、一般の被保険者数の把握が必要となります。

もし、短時間被保険者の雇用条件が変更され、一般の被保険者となるような場合には、被保険者の得喪ではなく、区分変更の届出が必要となります。
※逆に一般被保険者から短時間被保険者へとなる場合も区分変更の届出が必要となりますのでご注意下さい。

算定基礎届および月額変更届に記載する支払基礎日数の追加
現状算定基礎届および月額変更届に記載する支払基礎日数
●一般被保険者:17 日以上
算定基礎届のみ
・パート:15 日以上(17 日以上が1 月も無い場合)
追加
●短時間被保険者:11 日以上

注意点
一般被保険者と短時間被保険者とで基礎日数が17 日以上→11 日以上となることにより、集計方法や計算のルールの見直しが必要となってきます。
また、上記の追加事項により短時間被保険者の区分変更届を提出しておく必要性が高まります。
この提出を怠ると算定基礎届および月額変更届に大きく影響することとなりますので注意が必要です。

厚生年金受給者への影響は?

社会保険の適用拡大により、今まで厚生年金保険の適用がなかった為に、在職老齢年金制度における年金額の対象とならなかった年金受給者にも、新たな影響を及ぼすこととなります。(年金支給額の減少、保険料の負担)
社会保険の適用拡大により、在職中で年金を受給している方に対して年金額の支給が減額または支給停止になることがあります。(在職老齢年金制度)

※在職老齢年金とは?
老齢厚生年金の受給権者(特別支給の老齢厚生年金も含む)が社会保険の被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額※1及び基本月額※2との合計額が支給停止調整開始額(28 万円)を超えるときは、その月分の老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額に応じ、支給停止基準額に相当する部分の支給を停止する制度です。

※1『総報酬月額相当額』とは、その者の標準報酬月額とその月以前の1 年間の標準賞与額の総額を12 で除して得た額とを合算して得た額となります。
※2『基本月額』とは老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)を12 で除して得た額となります。

今回の社会保険の拡大に伴い、高齢者の方が社会保険に加入することとなった場合、上記の在職老齢年金制度により、年金額が一部または全額支給停止となることがございますので、働き方に注意が必要です。
なお、60 歳以上65 歳未満の人のうち、特別支給の老齢厚生年金受給者で厚生年金被保険者期間の長期加入者や障害者の特例対象者の定額部分の全額支給停止の措置については、平成28 年10 月1 日に被保険者になったときなど一定の要件を満たす場合に定額部分の支給停止を行わないこととする経過措置が検討されています。





執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人
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