企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令

2019年3月13日
企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令

1.はじめに

金融庁は2019年1月31日に「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公表しました。
これにより、有価証券報告書を提出する会社は従前と比較して開示すべき内容の充実が求められるようになりますので、本稿ではその内容について説明いたします。

2.改正の概要

2018年6月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告において、「財務情報及び記述情報の充実」、「建設的な対話の促進に向けた情報の提供」、「情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組」に向けて、適切な制度整備を行うべきとの提言がなされました。当該提言を踏まえた、有価証券報告書等の記載事項の改正内容は、以下の通りです。

3.改正内容

  • 財務情報及び記述情報の充実

    経営方針・経営戦略等について、市場の状況、競争優位性、主要製品・サービス、顧客基盤等に関する経営者の認識の説明を含めた記載を求めることとします。

    事業等のリスクについて、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業へ与える影響の内容、リスクへの対応策の説明を求めることとします。

    会計上の見積りや見積りに用いた仮定について、不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響等に関する経営者の認識の記載を求めることとします。

  • 建設的な対話の促進に向けた情報の提供

    役員の報酬について、報酬プログラムの説明(業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等)、プログラムに基づく報酬実績等の記載を求めることとします。

    政策保有株式について、保有の合理性の検証方法等について開示を求めるとともに、個別開示の対象となる銘柄数を現状の30銘柄から60銘柄に拡大します。

  • 情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組

    監査役会等の活動状況、 監査法人による継続監査期間、ネットワークファームに対する監査報酬等の開示を求めることとします

このうち、会計監査人の選任に影響を与えそうな改正が監査法人による継続監査期間等の開示です。これは、取得企業として企業再編があった場合や、監査法人側の再編があった場合においても、それ以前からの年数を記載することになります。
いずれの改正内容についても、企業と株主の対話をより深めることに重点がおかれた内容となっています。

4.適用時期

「建設的な対話の促進に向けた情報の提供」欄に記載の項目については2019年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されます。
それ以外の項目については2020年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されますが、2019年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等からの早期適用が可能となっています。

執筆陣紹介

仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

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