海外勤務者は労災保険を受けられるの?

2015年4月28日

最近は、海外赴任者に関する相談が多くなっています。
先日も「海外出張と海外赴任では労災の考え方は違うのでしょうか?」と問い合わせがありました。
今回は、海外出張と海外赴任の区分と労災の考え方についてご紹介します。

  1. 海外での労災事故が労災保険法の対象となるか否かには以下のポイントがあります。
    国内企業に雇用されている労働者が海外で勤務するケースはさまざまなものがありますが、大まかに区分すると、「海外出張」の場合と「海外派遣」の場合が考えられます。 「海外出張」である場合は、当該海外出張者に関して特別な手続きは必要なく、その労働者が所属する国内の事業場の労災保険により給付を受けられます。 一方「海外派遣」である場合は、当該海外派遣者に関して所定の書式により”特別加入”の手続を行っていなければ、労災保険による給付が受けられないことになります。 特別加入には要件(下記3)があり、その手続きは事業場を管轄する労働基準監督署に届け出をすることで行います。

  2. 「海外出張」と「海外派遣」との区別については、「海外出張者」とは、単に労働の提供の場が海外にあるに過ぎず、国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務する者であり、「海外派遣者」とは、海外の事業場に所属して、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務する者と定義され、これらは勤務の実態によって総合的に判断されることとなります。(下記の例参照)

海外出張と海外派遣の例
区分 海外出張の例 海外派遣の例
業務内容
  1. 商談
  2. 技術・仕様等の打合わせ
  3. 市場調査・会議・視察・見学
  4. アフターサービス
  5. 現地での突発的なトラブル対処
  6. 技術習得等のために海外に赴く場合
  1. 海外関連会社(現地法人、 合弁会社、提携先企業等)へ出向する場合
  2. 海外支店、営業所等へ転勤する場合
  3. 海外で行う据付工事・建設工事(有期事業)に従事する場合(統括責任者、工事監督者、一般作業員として派遣される方)

なお、海外派遣者として”特別加入”することができる範囲は以下のとおりです。

  1. 独立行政法人国際協力機構等開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除きます。)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する方

  2. 日本国内で行われる事業(有期事業を除きます。)から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等海外で行われる事業に従事する労働者

  3. 日本国内で行われる事業(有期事業を除きます。)から派遣されて、海外にある「次の表」に定める数以下の労働者を常時使用する事業に従事する事業主及びその他労働者以外の方

上記事業の規模の判断については、海外の国ごとに、かつ、企業を単位として判断します。 例えば、日本に本社があって海外に事業場を持つ企業の場合には、日本国内の労働者を含めず、派遣先のそれぞれの国ごとの事業場において一定の規模以内であれば特別加入することができます。

中小企業と認められる規模
業種 労働者数
金融業、保険業不動産業、小売業 50人
卸売業、サービス業 100人
上記以外の業種 300人

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