平成28年度税制改正大綱【個人所得課税】セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除
~医療費控除の特例~【創設】

2016年5月11日
1.概要

 健康管理や疾病予防に対する自助努力を促すため、要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(スイッチOTC 医薬品)の購入費用の自己負担額を対象とした所得税の医療費控除制度が創設されます。この制度は、年間1 万2 千円を超えて一定のスイッチOTC 医薬品を購入した場合に、その超える金額について最大8 万8 千円まで所得控除の対象とする制度になります。

<(新設)医療費控除の特例と現行の医療費控除の比>
WS000002

(※1)「一定の取組」とは、次の医師の関与がある検診等又は予防接種
①特定健康診査、②予防接種、③定期健康診断、④健康診査、⑤がん検診
(※2)「一定のスイッチOTC 医薬品」とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品
(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)
(※)この制度は現行の医療費控除との選択適用になります。

< 医薬品の分類 >

(※)要指導医薬品の一覧は下記の厚労省のHPでご覧いただけます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/newyoushidou.html

<本特例措置を利用するときのイメージ>

(出典:平成28年度税制改正の参考資料(厚生労働省))

2.適用期間

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの5年間において適用されます。

3.関連事項

セルフメディケーション推進のための環境整備を行うにあたり、中小企業者が健康サポート薬局を開設する際の不動産取得税について、当該不動産の価格の6分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置が2年間講じられます。

4.想定される影響

現行の医療費控除は、自己負担額が10万円を超えない場合には適用対象となりませんが、創設された制度ではスイッチOTC医薬品の自己負担額が1万2千円を超える場合には適用対象となりますので、現行の医療費控除の対象外の方も減税の恩恵を受けることができます。

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