IPO市場の動向と管理体制の重要性

2015年10月21日

IPO市場は前年に引き続き、活況
一方で、投資家の信頼を損なう事態も散見される
IPOは成長の一手段、上場の有無に関わらず管理体制の構築は重要


 4月22日の日経平均株価は2万円台の大台に乗せて終えました。ITバブル時の2000年4月14日以来、約15年ぶりとなる水準です。
 景気回復による成長期待、株高を背景に新規上場(IPO)マーケットも賑わいを見せています。新規上場会社数は、2009年の19社を底にその後は増加傾向にあり、2014年の新規上場会社数は77社となりました。2015年も現時点(4月30日時点)で40社と前年を上回る水準で推移しており、市場関係者の間では100社以上となるとの声もあります。
 また、会社数だけでなく、日本郵政グループ3社の同時上場、無料対話アプリのLINE、再上場となるユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、大型案件が相次いで予想されています。IPOが増加している背景には、市場環境のほかに、内部統制監査の免除が選択可能になるなど制度的に事務負担が軽減されていることも主な要因でしょう。

 一方で、上場直後に業績下方修正や経営者不正が相次ぎ、日本取引所グループが証券会社や監査法人に審査の厳格化を要請するといった動きもあります。
 上場後に公になる問題は個々の要因があり一概には言えませんが、重要な点は、「IPOは会社成長の一手段であって最終目標ではない」ということです。IPOを行う過程で様々な管理体制の構築が要請され、上場準備段階で膨大な事務作業に追われながら体制を構築していく会社が多いのは事実です。
 ただ、上場会社であれ、同族会社であれ、会社が健全に成長するためには、損益管理を行う、予算実績管理を行う、労務管理を行う、内部牽制を働かせる、経営理念・経営方針を掲げる、といった基本的な事項は必ず構築する必要がある項目です。
 上場をする・しないに関わらず、会社の管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

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